日本の安全保障 2015 7 18

 最近、集団的自衛権や安全保障をめぐる議論を見ていて、
私は、こう思っています。
「マスコミも国民も、そして政治家も、重大な勘違いをしているのではないか」と。
 アメリカとの集団的自衛権も安全保障協議も、
本来の趣旨は、日本として、
内向きになりつつあるアメリカを何とかして巻き込みたいというものです。
 アメリカは、豊かな国です。
広大な国土、肥沃な大地、豊富な農産物、
人口3億人の巨大市場。
 最近は、シェール革命で、
アメリカは、世界最大の産油国になりました。
 極端なことを言えば、
アメリカは、鎖国をしても、やっていけるのです。
だから、アメリカ国民が、内向きになるのは、自然です。
 第二次世界大戦の時、ヒトラーが欧州大陸で暴れているというのに、
大半のアメリカ人は、「海の向こうの戦争にかかわりたくない」と考えていました。
 当時、イギリスのチャーチル首相は、何とかして、
欧州の戦争に、アメリカを参加させたいと苦労していました。
 しかしながら、アメリカ人の多くが戦争を決意するのは、
アメリカ本土が攻撃された時だけです。
 つまり、アメリカは、
アメリカ本土が攻撃されない限り動かないと思うべきです。
 そうなると、窮地に陥るのが日本です。
日本は、国力に対して、何十年も、防衛力の整備を怠ってきました。
 日本の防衛予算は、GDP比で1%程度です。
国際基準で考えれば、普通の国ならば、GDP比で2%が標準です。
1%程度というのは、中小の国です。
 さあ、日本は、どうする?
防衛予算を増やしたくないならば、
何とかして、アメリカを日本の防衛に巻き込む必要があるのです。
 日本の街角で、集団的自衛権に関して、
「このままでは、外国の戦争に巻き込まれる」と叫んでいる人がいましたが、
ひどい勘違いです。
 それを言いたいのは、アメリカ人です。
アメリカ人から見れば、尖閣諸島は、「ただの岩」です。
「そんな岩を守るために、アメリカは戦争に巻き込まれるのか。ひどい話だ」と思っています。

8800億円の請求書 2014 11 30

書名 アメリカはいつまで超大国でいられるか
著者 加藤 英明  祥伝社新書

 アメリカ人が、著者に、こう尋ねた。
「アメリカが中東の石油を必要としなくなったら、
今は、ペルシャ湾の自由航行を護るために、
第五艦隊を貼り付けているが、撤収することになるね。
年間80億ドル(約8800億円)も、かかっている。
 アメリカが第五艦隊を引き揚げたら、
日本が、その後を引き受けてくれるかね?」
(以上、引用)
 アメリカでは、時々、国防長官の交代がありますが、
誰が次の国防長官になっても、
国防予算をどう削減するかが、重要な仕事です。
 一方、アメリカでは、シェール革命により、
世界最大の「産油国」になることが有力視されています。
 さあ、日本は、どうする。
海上自衛隊の大艦隊をペルシャ湾に駐留させるのか。
それとも、毎年、必要経費をアメリカに支払うのか。
 もちろん、サウジアラビアも、
アメリカが第五艦隊を引き揚げたら、大いに困ることになるでしょう。
 なにしろ、ペルシャ湾を挟んで、
中東の軍事大国であるイランと対立しているからです。
サウジアラビアは、人口が少ないので、
どう頑張っても、軍事大国になることはできません。
 もちろん、ひとつだけ方法があります。
核兵器を開発しているイランと同じように、
サウジアラビアも、核兵器を開発するか買うという方法があります。
 ただし、核兵器を開発するにしても、買うにしても、
ハードルが高いものとなります。
 そうなると、サウジアラビアと日本は、
ペルシャ湾をめぐって、お互いに軍事同盟を必要とする国になりますか。
 アメリカは、シェール革命がなくても、
「あんな危険なところから引き揚げたい」というのが深層心理でしょう。
 アメリカは、キリスト教国です。
聖書の最終章には、恐ろしいことが書いてあります。
どう読んでも、人類にとって「最終的な戦争」は中東で起こると読めます。
こうした聖書を子供の頃から読み聞かされてきたアメリカ人にとっては、
中東の石油を必要としなくなったら、早く引き揚げたい気分でしょう。
 Lexus-A時代を、日本は、どう生き残るのか。
「Lexus-A」とは、 東京大学准教授の池内恵氏が作った言葉です。
 これは、「League of Ex US Allies」の略であり、
日本語では、「元アメリカ同盟国連盟」だそうです。
サウジアラビア、トルコ、イスラエル、日本、さらに英国がメンバーらしい。
 おそらく、アメリカ本土が攻撃されない限り、
アメリカは動かないと考えておくべきでしょう。
それが、同盟国の、いや元同盟国の心得でしょう。














































































トップページへ戻る